千歳リハ大 健康コラム

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2017.09.12 更新

膝にはなぜ疾患が多いのか? 2

前回述べたように、ヒトの膝は完全伸展することができます。これによってヒトは直立二足歩行が可能になり、自由になった手はいろいろな道具を作り出すことが可能になったといわれています。一方、他の哺乳類の膝は、ブタなどの偶蹄類、イヌなどの食肉類ともに精一杯伸ばしても30度屈曲が限度です。この違いは膝の構造にどのように反映されているのでしょうか?

ほとんどの動物の膝はヒトの膝に比べて脛骨がより後ろに位置します。このため完全伸展しようとしても、後方にある結合組織がつっぱってできません。一方ヒトの膝は脛骨が前に出ることによって完全伸展が可能になりましたが、それによって影響を受けたのが前十字靭帯です。この靭帯は大腿骨の外側顆後方と脛骨高原の前方中央をつないでいます(図)。他の哺乳類の前十字靭帯はそこまで斜めにならず、垂直に近い走行になります。

脛骨が前方に移動して完全伸展できるようになった結果、ヒトは他の動物に比べ、前十字靭帯により多くの力がかかりやすくなってしまったのです。前十字靭帯はジャンプの着地の際、後傾姿勢になったり、膝が内側に入ったりすると、脛骨が前方に強く引っ張られ、損傷しやすくなります。

スポーツ選手が前十字靭帯を切ると復帰できるとしても8-9か月かかります。ジャンプで着地する時は前に重心がかかるように普段からトレーニングすると、前十字靭帯損傷の予防効果があるといわれています。


A.ヒトの前十字靱帯の走行
ヒトの前十字靱帯は立っているとき、後ろから前へ斜めに走行する。
従って脛骨が前方に引っ張られると(矢印)損傷しやすい。

B.ブタの前十字靱帯の走行
ヒトに比べると前十字靱帯は垂直に近い走行で、脛骨に前方の力がかかっても、余裕があるためヒトほど切れやすくならない。

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